第三回目は、革の性質・牛革① 牛革とは について。
革製品を作る際、どのようなことに注目して革を選ぶのでしょうか。
革は一枚ずつ取引されます。
その為、製品作りにおいては革の性質を見る必要があります。
キメの細かさや、艶、ハリなど人間の肌と同じように革にも違いがあり、
それら革の性質は原皮によって変わります。
原皮は動物の種類だけでなく大きさでも変わり、
使う部位によっても性質は違います。
ここでは牛革を主に例にしながら、革の性質の違いをお話していきます。
<大きさによって変わる呼称>
ハイド(hide)
厚くて25ポンド(約11.5kg)以上ある表面積が大きくて重たい革。代表は成牛革
スキン(skin)
薄くて軽い、表面積が小さい革。代表は、子牛革
牛の場合、サイズによって年齢が異なることから、キメや厚み、キズの有無など変わってきます。
主な3部位
・ベンズ、バッド(背中からお尻の部分)
繊維の密度があり、伸びにくく、厚みもあって耐久性が高い。
大判が必要とされる製品から小物まで広く使われている。
・ショルダー(肩の部分)
よく動く部分のため、柔軟性があり、革厚は薄く、比較的耐久性は高い。
シワやキズがある場合が多い。
・ベリー(お腹の部分)
繊維密度の間隔が広く、柔軟性があり、伸びやすいが、耐久性は低い。
他には、ヘッド、ネック、サイド、クロップの部位があります。(図)
<繊維の方向>
動物の繊維の方向は基本的に、背骨から各部へと向かってきます。
繊維の方向に引っ張ると伸びにくくちぎれにくい、繊維の方向と垂直だと伸びやすくちぎれやすい状態になっています。
繊維の方向に引っ張った時の強度は、天然繊維の絹や合成繊維のナイロンにほぼ匹敵するほどです。
これらのようにサイズや、部位、繊維の方向からでも違いがあるため、製品に対して革を選ぶための要素となります。
これらを踏まえて革を選ぶことができたら、革のものづくりをする際も楽しくなってくるのではないでしょうか。
次回からは動物の革の種類に踏み込んでフォーカスを当てていくのですが、
今回は大きな枠である牛革から少しお話ししていきます。
<牛革とは>
革の中で最も利用度の高いものが牛革です。
月齢、性別、出産の有無などで革が分類されているのが特徴的で
、成牛革ではカウ、ステア、ブル、中〜子牛革はカーフ、キップと種類があります。
これらの理由からさまざまな用途で牛革が選ばれています。
次回は、牛革②成牛・中〜子牛革のそれぞれの性質へと続きます。
Atelier8845では、革製品のお修理、リメイク、オーダーメイドを承っております。
また、現在ブログでは役立つ革の知識、革製品について数回にわたってお話をしています。
【参考文献】
レザークラフトの便利帳 誠文堂新光社
レザーソムリエ資格試験公式テキスト Basic(初級)編